EXPERT KNOWLEDGES |平川正広氏-アジャイル組織をつくるエンジニアマネジメントのエキスパート has loaded

20以上のベンチャーを支援 元サイダスCTO エンジニア組織開発のエキスパート

平川 正広  氏

◯プロフィール

●株式会社サイダス / CTO

開発部門及びサポート部門の組織づくり

●アバノアテクノロジー / 代表

ブロックチェーン技術開発支援や技術顧問

●SAP ジャパン株式会社

ERP製品の技術サポートおよび営業支援

IT業界に30年、20以上のベンチャー企業で技術支援

 

 出発点は、新卒で入社した富士通での銀行勘定系システムのプログラム開発です。その後JICAの青年海外協力隊を経て、帰国後は複数の外資系事業会社でエンジニア職に携わり、テック系ベンチャーの起業を経験してきました。

 

 前職では、人事領域における「タレントマネジメント」システムを提供するサイダス社にて、CTOとして経営に参画し、クラウド基盤のアーキテクチャー設計から開発プロセスの確立まで、技術基盤の全てを統括し、開発部門およびサポート部門の組織作りに貢献しました。

 

 現在は、2017年に設立したアバノアテクノロジーの代表としてブロックチェーンを核とした基盤技術の開発支援、および関連プロダクトやサービスの創出を目指し活動しています。また、技術顧問業務(CTO/CIOアドバイザ)、エンジニアインキュベーション事業支援、クラウド系WEBシステムの受託開発業務なども行っています。

 

 このように、IT業界に30年以上携わっていまして、外資系企業を複数渡り歩いてきました。様々なプロダクトの開発に携わる中で、90年代後半にシリコンバレーを見聞きする機会があり、日本とは異なるエンジニアリングの世界に衝撃を受けました。ちょうどその頃インターネットが世の中に出始めた頃で、2000年以降は、スタートアップやベンチャー界隈のネットやweb事業を中心にCTOのような役割で複数の企業に携わってきました。

 

 これらの経験からエンジニア組織の文化を作ることがとても重要であると認識するようになりました。20年間0→1の世界にずっと身を置いています。

 

 

 

エンジニア組織の開発で重要なのは文化づくり

 

 ものづくりというのは、それ自体が目的になってしましがちですが、本来は目的やビジョンがあってそこに向っていく手段としてシステムやツールが存在しているはずです。しかし、その目的を見失い、目先のシステム構築ばかりに目が向きがちです。理由は業務の性質上自分達は歯車でしかないと思うようになり、全体像が見えなってしまうためです。このように「製造部門」という感覚があり、会社の中で作るだけが目的の部門と認識してしまうのです。

 

 最近ではSaaSが普及していますが、そもそもシステムというのは改善し続けないと陳腐化してしまうものです。製造というと、一度作り終わったらそれをずっと使い続けてもらう、というイメージがついています。そこから変えていかないといけないと考えています。ここで大切な概念がアジャイルです。ソフトウェア開発の手法だけではなく、組織そのものをアジャイル組織にしていかないとならないと考えています。理由は常に改善をし続ける習慣がないとその組織はマーケットから取り残されてしまい、競合に負けてしまうためです。

 

 これを実現するためにこれまで様々なスタートアップベンチャーで尽力してきました。

 

 

 

アジャイル実現にはエンジニア組織を内製化するべき

 これまで20近くのベンチャー企業に携わってきました。そこで気づいたのが、意外と営業やマーケティング出身者が中心となって作られたベンチャー企業だと、エンジニアリングの文化を感覚的に理解できていないと思うことがあります。エンジニアリングの文化を作るには、創業間もないフェーズで取り組むことが肝心だと考えています。そのため、割とフェーズの早い段階で参画して、CEOの壁打ち相手としてCTOの採用を一緒に進めていくこともしています。 

 

 初期のフェーズでよくあるのが、開発は外注で良いのでは?という発想です。しかしプロダクトを提供するベンチャーの場合は、そのプロダクトがコアコンピタンスになるので、意思疎通がスムーズにできてスピーディに改善できる環境であるべきであり、そのためには内製化していることがベストだと考えています。そのためスタートアップやベンチャーには必ず内製を勧めています。少しでも早く内製化できるような仕組みを作っていきます。

 

 

 

自社プロダクトをアップデートし続けるのが現代のスタンダード

 現実的には100%内製ではなくアウトソースとのハイブリッドで進めなければならないと思います。しかし、最終的には100%内製にしないとスピーディな開発・改善は実現できません。製造という発想を無くさないと外注によるものづくりに対して違和感がなくなってしまいます。

 

 あくまでサービスを作っているという認識が必要です。サービスは生き物なので日々進化するものです。一方製造という概念の元では、完成された瞬間が最高の質であるけども、時間と共に劣化していきます。そうではなく最高の質であり続けるための努力が必要です。

 

 そのために大事なのはエンジニア組織がこの意識を持ち、アジャイル的な組織はであることです。

 

 

 

内製化のために必要なステップやツールの選定

 CTOやCIOの経験値が浅い場合や、サービスローンチ後も開発を外注している企業に参画した経験があります。よくあるのが事業の成長に開発のスピードが追いつかないことです。原因は事業計画通りに開発組織がついてこれなかったり、技術的にスタックして先に進めないなどです。また、外注ベースで長く進めてきたためブラックボックス化しているなんてケースはよくありますね。

 

ブラックボックス化している状態に対してどのようにアプローチしていくのですか?

 

 半分くらいのケースでは最初に作ったものをスクラッチから作り直す必要があります。とはいえゼロからスタートするのではなく、それまでの製品仕様などのノウハウは残っているので、全くのゼロではないです。捉え方としてはそれまでのプロセスは練習とし、新しい組織で同じものを作り直すようなイメージです。

 

 そして、開発組織を新たに内製化する際に重要なのがツールの選定だと考えています。クラウドやPJ管理ツールなどはどれを使ってもあまり変わらないと思われがちですが、意外とプロダクトや組織の特徴によって適性があります。

 

 例えばCEOがプロダクトオーナーを兼任しているような企業では、管理ツールはこれが良いなど、エンジニア組織のみでプロダクトがマネジメントされている企業ではこのツールが合う、というようなことがあります。意外とこれらの特徴があまり理解されず、ツール選択のミスによってプロダクト開発がうまく回らない、ツールを活用しきれていない、あるいはツールを使うための仕事が発生しているようなことが起こります。

 

 また、プロセス改善を課題に挙げられるケースもあるのですが、そういったケースでもツールを変えるだけで解決することもあります。そうすることで、組織のオペレーションが効率的になり、アジャイルな開発が可能になります。つまり開発をスムーズに進めるための環境整備のようなことですね。

 

 

 

各社のブロックチェーンの技術実装状況

 HR techのサイダス社でCTOをしているときにブロックチェーンの有用性に気づきました。HR techではとにかくデータを集めて分析するタレントマネジメントが主になるのですが、その中でデータの信頼性がどのように担保されるべきかという点からヒントを得ました。今後ブロックチェーンは信頼性の担保で活用されていくと考えています。

 

 現在ブロックチェーン活用目的で携わっているプロジェクトは、クライアントワークという形態で複数の企業様とお仕事をさせていただいておりますが、ほぼ全部PoCの段階です。まだまだ社会実装が進んでいかないというのが現状ですね。

 

 ブロックチェーンはデータの担保をするのに有用ですが、そもそもそのデータが間違っていた場合どうしようもないという問題はあります。その点でIoTと相性が良いと考えております。例えばセンサーで温度や状態を認識するケースでは機械が認識したデータのため信頼性が高いです。この場合データの抽出から移送、活用まで全て機械で完結する、つまり人が介在してデータを入力するといったプロセスがないため相性が良いとされます。そのため最近はIoT関連でブロックチェーンを活用したPoCが増えています。

 

 

 

ブロックチェーンの開発環境は未発達

 

 ブロックチェーン界隈は開発をする、あるいは実装する環境がまだまだ非常に乏しいです。webではものづくりや実装が非常に安価でスピーディにできますが。一方ブロックチェーンでは5年くらい前の開発環境からあまり進歩していません。しかし、ここ1、2年でだいぶ変わってきましたね。この世界に携わっているエンジニアは多くないのですが、スキル的には不足しているわけではありません。

 

 今後もブロックチェーンに軸を持ちつつ、これまでの経験をもとにスタートアップやベンチャーの若い世代の方達と関わりを持ち続けて支援をしていきたいと考えております。

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